略式もいいところで、とても正式とは言える内容ではありませんでした。
では、普通の地鎮祭はどうやるものなのか?を、
次の項目に沿って、ちょっとだけ、お話してみようと思います。
■神事の場所〈神座〉について
■お供え物
■儀式の進行
■礼のしかた
■拍手の打ち方
■玉串の捧げ方
■神事の場所〈神座〉について
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敷地に祭事を行う場所をつくります。
敷地の適切な場所に、斎竹(いみだけ)を4本四角く立て、
それを注連縄(しめなわ)で結び、
注連縄には、紙垂(しで)をさげます。
こうして祭事を行う四角のエリア「神座」が出来上がります。
神様がいらっしゃる場所が、神座となり、
神座は南を向くように、または、東を向くようにします。
実際には、建て主の意向を伝えれば、施工会社(建設会社、工務店、棟梁)の方が
場所の設営を取り仕切ってくれるはずです。
■お供え物
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一般的に、「海のもの、山のもの」をお供えするといわれます。
具体的には、
米、酒、餅、海魚、川魚、野鳥、海藻、野菜、菓子、塩、水などです。
現実には、川魚と野鳥は、あまり見たことはないので、
絶対に全てをそろえなければならないものでもないようです。
海の魚は、鯛(たい)のこともあれば、スルメのこともありました。
海藻は、コンブがよく使われるようです。
野菜は、大根など形がしっかりしたものがよく見られます。
■儀式の進行
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1.手水(てみず)の儀(または、ちょうずの儀)
式場に入る前の体を清める儀式。略式では、あまり見ない。
2.修祓の儀
けがれを祓う儀式
3.降神の儀
神様をお迎えする儀式
4.献饌の儀
神様にお供えをする儀式
5.祝詞奏上
神を尊び、神の加護を願う儀式
6.地鎮の儀式
・切麻散米の儀式
神官が切麻、散米を持ち、敷地の中央、四隅にこれを撒いて祓いをする。
7.玉串奉奠の儀
榊の枝を捧げる儀式(神を敬う心を表す)
参列者も順番に玉串(榊)を捧げる。
8.撤饌の儀
お供え物を下げる儀式(略式では省略されることが多い。)
9.昇神の儀
神様がお帰りになる儀式
10.直会(なおらい)の儀
関係者が神酒などお供え物を頂戴すること。
別会場に移動しての儀式宴席となる場合が正式のようですが、
略式では、その場でお神酒(おみき)を一杯ずついただくことになります。
住宅の個人的な地鎮祭では、司会者を特におかないので、
基本的には、神官が儀式を進めていきます。
参列者は、礼、拍手をする箇所など、神官に従うことでよいでしょう。
■礼のしかた
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儀式のとき、最も気になるのは、礼のしかた、拍手(かしわで)の打ち方、
そして、玉串の捧げ方という、参列者も行う部分ではないでしょうか。
まず、礼のしかたですが、大きく分けて2種類の礼、
深い礼(拝:はい)と浅い礼(揖:ゆう)があります。
浅い礼は、神官から玉串を受け取るとき。会釈程度。
深い礼は、玉串を祭壇に捧げるとき。90度くらい腰を曲げる。
玉串を捧げるときなど、
「ニ礼(拝)、二拍手、一礼(拝)」
をします。つまり、
2回深い礼をしてから、2回手を打ち、終わりにもう一度深い礼をする。
というものです。
■拍手(かしわで)の打ち方
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指を開かずに手のひらを胸の前で打ち合わせます。
両手のひらが離れたところからはじめるのではなくて、
手を合わせたところからはじめるとよいでしょう。
清らかな音が出るとよいとされています。
■玉串の捧げ方
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神官から玉串(榊)を受け取り、神前に向かいます。
神前手前で、浅い礼をし、さらに神前に近付きます。
神前では、玉串を持ったまま、深い礼をして、玉串を捧げます。
玉串を捧げるときは、榊(さかき)の枝の方を神様のほうに向けて、
榊の葉のほうを自分の方にむけて、葉の表を上にして置きます。
玉串を捧げたら、少し後退し、
「二拝、二拍手、一拝」をします。
終わったら、三歩ほど後退してから、回れ右をして
自分の席(立ち位置)に戻ります。
■まとめ
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この説明には、鍬(くわ)入れの儀式など、
個人住宅レベルでは、なかなか行われないものについては、
省略しました。
また、それぞれの神社や、更には仏式などでも内容が
異なってくると思います。
ですから、実際に地鎮祭を行われるときには、
その神主さんやお坊様から
よくお話を聞かれるとよいと思います。
何を神主さんが当日持ってこられて、
何を建て主側で用意したらいいのかなど、
事前に気楽にお聞きになってください。
実際の式の進行では、誰もが始めてのことですから、
わからないのが自然です。
神官の方の仰るとおりに任せれば、間違いのないところです。
私も最初は、何がなんだかわからずにいました。
そこで試しに、建築の儀式についての解説書を読んでみました。
それでも読後は、わかったような、わからないようなといった感じでしたが、
実際の場になると、それなりに神主様や周りの方たちがやっていることが
理解できるのでした。
→参考書のご紹介『すぐに役立つ建築の儀式と祭典』
お試し下さい。
ただ、謝礼のことや、その土地独特のやりかたなど、
わからないところがあるのも確かです。
そんなときは、身近な年長者の方や経験者の方に
お聞きすると良いでしょう。
なによりも、気持ちを込めるのが第一なのですから、
儀式の大小やお金のかけ方にとらわれずに
自分なりの地鎮祭をされるのが一番かと思います。
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ラベル:地鎮祭