ここでちょっと「げんば・かんり」のお話を。
「げんば・かんり」と発音する言葉ですが、
実は、少し意味の違う2つの用語があるのです。
「現場管理」と「現場監理」
今回は、この似ているようで違う2つの言葉についてお話します。
■現場管理
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現場『管理』の方は、建物を建てる工事において、
実際の工事が進んでいくために現場工事の運営をする
リーダーの行為を「現場管理」といいます。
この時の“リーダー”が「現場監督」であり、
建設会社などの、いわゆる施工者の立場にある人間です。
建設工事では、自らの建設会社だけではなくて、
各種の職人さんたちの下請会社と一緒に仕事を進めますから、
各工程の職人さんたちが順番にスムーズに現場に入って
仕事ができるように段取りをするのも「管理」のうちですし、
工事現場で事故などがないように安全管理をするのも仕事です。
また、建て主さんと契約した工事金額で工事がまとまるように、
お金の調整をするのも現場監督の仕事です。
見積書のとおりに工事が終われば問題ないのですが、
予想外の事態や、見積もり時からの建設物価の変動など、
思い通りに行かないのが常ですから、それに対応しながら、
予算内で建物をつくりあげていきます。
さらに、建て主さんからの工事途中での変更要請などがあれば、
追加工事として最終的な支払額を変えるのか?なども協議しながら、
まとめていかねばなりません。
現場監督さんは、あらゆる面で現場を「マネジメント」する
重要な役回りです。
■現場監理
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それに対して「現場監理」の方は、現場で出来ていく建物が
設計図面のとおりに作られているかを確認していき、
図面どおりでないときには、施工者に理由を聞いたり、
図面どおりに作りなおすように指示を与えるのが役目です。
この「監理」というのは、建物を作る際に役所に申請した
「確認申請書」にも「工事監理者」という記載項目があり、
建築工事の際には必ず決めないといけない役職です。
ほとんどの場合、設計者が「監理者」を兼ねることになります。
(設計した者が、一番設計内容をわかっているので)
■設計者/監理者はどういう立場か?
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最後に、設計者・監理者がどんな立場であるといいのか?
についてお話します。
といっても、何を言いたいのか、わかりにくいでしょうか。
ぶっちゃけた話で、設計者・監理者は、誰から報酬(お金)を
もらうのか?という話です。
例えば、私のような建て主さんから仕事を依頼され、
設計・監理業務をするものは、建て主さんから報酬をいただきます。
それに対して、建築会社内部の設計部だったり、
施工者が連れてきた設計者の報酬は、施工者側が支払うことになります。
建築士には、その職業倫理上、公正さが求められています。
しかし、建築士とはいえ、経済商業活動の中に含まれていますから、
お金を支払う方が雇い主になり、もしコトが起こった場合は、
どちらの立場になってモノを考えるか、といえば明白です。
昔は、設計士は、大工さんや工務店さんが連れてきて、
設計料や確認申請代は、施工者が払うというのがあたり前で、
その方が建築主の負担が少ないというように思われていましたが、
実際はどうでしょうか?
施工者が負担する設計料や申請費用だって、
元をたどれば、工事費に含まれているわけですから、
結局、建て主さんが支払っているわけです。
設計施工であれば、すべてお任せできて楽であったり、
施工者自社の特質を生かした設計とコストダウンが可能だったりと、
そういうメリット(需要)があることも否定しません。
どちらが自分にとって、よりメリットが大きいかを
判断することは、大切なことだと思います。
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