2006年7月12日
今日は、建物の位置ならびに基礎の位置の最終決定をする
「遣り方」をする日です。
前回の「地縄張り」は建物のアウトラインでしたが、
今日の「遣り方」は、全ての基礎の位置、ライン(筋)が
決まり、それを元に基礎工事をすることになりますので
位置寸法や角度がとても重要になってきます。
■「遣り方」(やりかた)とは?
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住宅の建物の場合、布基礎(ぬのぎそ)という、
帯状のコンクリート基礎が一般的です。
その基礎工事をする際の位置出しをしたいところですが、
地面の上に線を描いても、精度が出ませんし、
掘り起こしたら、すぐにわからなくなってしまいます。
そこで、基礎工事をする周囲に「貫(ぬき)」と呼ばれる小幅の板をぐるりと
張りまわして(同時にそれを貼り付ける木杭も一定間隔で立てていき)、
その板上に各々の基礎の位置を記した墨(線)と釘を打っていきます。
例えば、一筋の布基礎は、その両側に墨と釘で位置を出してありますので、
釘間を「水糸」と呼ばれる頑丈な糸で結ぶことで、空中上に線を引いたかっこうに
なり、基礎工事の地面の掘り起しなどは、その糸を目印に行われるわけです。
おおむねそういった位置出し法を「遣り方」と呼んでいます。
■我が家も「遣り方」が進んでいきます
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大工さんが、木杭に貫を打ち付けていっています。
貫が建物位置を囲むように一周しました。
ちなみに、手前左の棒とヒモで位置を出してあるところが浄化槽を埋めた位置で、気をつけるように目印になっています。
写真でわかるでしょうか?
細い黄色っぽい糸が張ってあります。
その「真下が基礎の位置」ということになります。
空中に実寸の図面を描くようなものですから、
伝統の知恵とは、素晴らしいものです。
手前の御札が、自分で立てた地鎮の御札です。
■ベンチマークとレベル(高さ)出し
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遣り方では、平面上の位置決めと共に、高さの基準についても設定します。
まずその基準とするために工事現場に設置するのが、
ベンチマーク(BM)です。
ベンチマークは、現場内や近場(見通しの効く)の頑丈な固定物に
専用のピンを打ち込んで、それを基準に高さ方向の位置関係を
決めていくことになります。
また、遣り方の貫が工事中に何かの拍子に壊れてしまっても
ベンチマークに戻ってやり直せば、同じ高さ位置が割り出せますので、
ベンチマークの設定は、大切なものになるわけです。
我が家の現場では、道路境界の側溝の縁にベンチマークを
設定しました。
そのベンチマークを基準にして、基礎の高さ位置を決めました。
「基礎天端(きそてんば)250」とは、
この印(貫の上端)から250ミリ下がったところを、布基礎コンクリートの一番上の面の
高さとする。ということを表現しています。
この後に現場に入る土工事関係者は、これを頼りに
基礎天端が250ミリ下なら、地面を掘る深さはいくつ下か?
などと計算して、決めていくことになります。
ちなみに、250ミリという数字は、道路側溝のベンチマークをゼロとしたとき、
ポーチがそこからいくつ高くなって、更に玄関内部はいくつ上がって・・・としたときに、
基礎の高さは、ベンチマークからいくつ高くなっていなければならないかを
逆算して割り出したものからきている数値です。
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現場も水溜りが目立つ梅雨の日々でした。